「0 to 100 会社を育てる戦略地図」を読んで感じたこと

スタートアップがIPOの段階にたどり着くまでのフェーズを6段階に分け、各段階で何に注力すべきか、何に気をつけなければならないかを、クックパッドやランサーズを経験している著者の山口豪志さんの経験から普遍的なポイントを抜き出して紹介しています。

本の概要

ざっくり説明すると、

  • (1段階目)→0:事業テーマを決める
  • (2段階目)0→1:試作品を創り、顧客を見つける
  • (3段階目)1→10:商品設計を考え抜いて完成させ、販売体制を作る
  • (4段階目)10→30:採用強化 & 中間管理職の育成 & 社内制度構築
  • (5段階目)30→50:既存商品をブラッシュアップ & 新規事業開発
  • (6段階目)50→100:競争優位性確保 & IPO準備

という内容です。これからスタートアップやベンチャーに就職を予定している人には一読の価値ありです。

読んでみて思ったこと

僕のクライアントは主に0〜50くらいまでのフェーズで戦っている企業が多く、まさにこれから伸びていこうとするタイミングの会社で開発業務に関わらせてもらっています(時にはCTOとしてエンジニアの採用を担当することもあります)。

これらのフェーズを経験をしてみて思うのは、

  1. 経営理念を明確に打ち出すことの重要性
  2. 如何にして会社のカラーに合った人材を集め、迎え入れる体制を整えるか

の2点についてです。

1.経営理念を明確に打ち出す重要性

経営理念がないと、従業員が

「何故この会社は◯◯という事業領域で

商品を展開しようとしているのか?」

と疑問に思い始め、ひいては

  • 働く動機を見出せなくなる
  • モチベーションの低下
  • 採用面接に自社の明確な説明ができない

といったマイナス面に繋がりかねないからです。

山口さんの著書にも記載がありましたが、社長が会社を興す動機というのは非常に強い原体験に基づいています。

強烈な原体験を持っている人ほど、テーマにかける想いも強まります。そして想いが原体験に紐づけば紐づくほど、テーマに対する自分自身の納得感も高まり、荒波の中でも迷いなく突き進むことができます。

強い想いを持つこと。それが起業の大前提と言えるでしょう。

「0 to 100 会社を育てる戦略地図」→0 起業前夜 の章より引用

社長が起業するきっかけになった出来事は、社員が理念に共感するための重要な材料です。理念をしっかり明確化し、社長が社員へ定期的に発信することは「超」が付くほど大事なことだと感じています。

2.如何にして会社のカラーに合った人材を集め、迎え入れる体制を整えるか

会社が採用を成功させていく為の初期段階は、前述した経営理念の確立です。理念がないと、就職先を探している側も何を判断軸にして応募すれば良いかが分からないので。

で、さらに踏み込んで取り組みたいのが以下2つです。

  1. 社風の明文化
  2. 初出社した社員を迎え入れる体制作り

1.社風を明文化する

具体的には

  • どんな社員がいて
  • どんな働き方を好み(コミュニケーション含む)
  • どんな価値観を大切にしているのか

このあたりを明文化して募集要項に掲載することで、会社のカラーに合った人材が集まりやすくなると感じています。

会社って利益追求していくのが本質ですが、中で働いているのは社員なので、社員のエモい部分を垣間見ることが実は応募者の応募動機になることって結構あると思っています(僕自身がそうなので)。

2.初出社した社員を迎え入れる体制作り

採用が決まった後に重要なのが、「内定して初出社した社員をしっかり迎え入れる体制作り」です。初出社日に新入社員とランチに行ったり、夜に歓迎パーティーをするとかですね。

目の前の仕事に手一杯で、初日にランチに行かなかったり夜の歓迎パーティーに出れないのって、正直ありえないと思ってます。現場が採用の重要性に気付いていないか、甘く見ているとしか思えない(採用難のご時世なので特に)。

こう思うポイントは2つあり、初日に上記のような機会がないと新入社員は

  • 「この会社の人たちとうまく仕事していけるだろうか?」をなる早で掴みたいのに、掴む機会がなくて不安に感じる
  • 「この会社は社員を迎え入れる気が本当にあるんだろうか?」と思われる

からです。

新しい社員を迎え入れる体制作りは基本中の基本でありたいものですが、管理職以上の立場の人間が採用に関する重要性を、事前に社員に説くことも大事なのかもしれません。

終わりに

本書を読んで、過去の成功体験や苦い経験がいろいろと蘇ってきました。会社は成長や衰退を繰り返すものですし、人には論理だけではなく感情もありますし、社内では苦悩がつきものですよね。

だからこそ、会社の理念と環境整備にはなるべく力を入れてもらいたい(あるいは力を入れていきたい)ものです。