記事執筆量を増やす為に、内省する仕組みと内省用ツールとしてObsidianを選定・運用してみた記録
2025/06/11

masyus
はじめに & 背景
最近、masyus.workの記事執筆量をなかなか増やせないことに悩んでいました。最初は単純に
Input量(学習量と置き換えても良い)が足りないのが原因
だと思っていましたが、どうやらそれだけではなさそうだと気づきました。いくら文章を構成してみても、後から見直してみると読んでいる最中に何となく文章の関連性が途切れやすく、読みづらい。
また、自分のオリジナリティがうまく文章に出せていないとも感じていました。いくら情報を集めても、それを自分なりに解釈して「私はこう思った、だからこのように行動した。その結果どうだったか」という流れがなければ記事として成立しにくいようです。
ここまでの課題をまとめると以下の3点になります。
- Input量が足りない
- 自分の中でOutputしたい情報を整理できていない
- 「私はこう思った」という部分の掘り下げが弱い
以上の経緯から、記事執筆においてInputとOutputの量が大事なのは言うまでもありませんが、それに加えて
Introspection(内省)の力を強化する
必要があると痛感したのです。
また、私は記事執筆にあたりCursorを使っているのですが、
- 内省を含めてCursorのツールだけで完結できるのか?
- 内省をどのように日々の執筆フローに組み込むか?
と考えたとき、Cursorはどちらかというとアウトプット寄りのツールであり、
「内省は他に適したツールがあるのではないか?」
と考えるようになりました。できればKindleやYoutube動画など、Inputと極力連携できるものが望ましいです。
内省ツール選定
Cursorとは別のツールを検討したほうが良いと分かりましたので、最近話題に上がるモダンなツール群から選定候補を見ていきたいと思います。
1. Notion
まず最初に候補に上がったのがNotionです。仕事でも使い慣れており、Kindleハイライトとの連携プラグインもあります。また、出先の隙間時間で更新したい時もネットに繋がってさえいればどこでも編集できるのが魅力です。Markdown対応でシンプル且つ書きやすく、Notion AIも搭載されています(正直まだ使い倒しきれていないですが)。
2. NotebookLM
次にNotebookLMも検討しました。NotebookLMは主にInputの要約で力を発揮するツールですが、残念ながら内省にはあまり向いていません。あくまでInputから内省への中間で活躍するイメージです。
3. Obsidian
以前から気になっていたものの、正直どんな用途に向いているのか分かっていませんでした。しかしよくよく調べてみると「Sharpen your thinking.」というキャッチコピーの通り、実は内省に特化したツールであることが分かりました。プラグインでKindleハイライトも取り込めますし、Web上の記事をクリッピングしてmdファイルに貯め込むこともできます。Markdown対応でシンプル且つ書きやすい点も魅力です。
ただし内省情報を取り扱う特性上、基本的にローカルで管理するタイプのツールなので、出先で更新したい時に少々困ることもあります。これに関してはObsidian SyncやGoogle Drive、Gitなどを使えば代替手段はあります。また、Obisidian内で生成AIと連携していないため、壁打ちなどで思慮を深めるプロセスはObsidianだけでは完結しませんが、その部分はCursorなど他のツールに譲る形になります。
総合的に見た結果
NotionとObsidianの二択となりました。NotebookLMはInputから内省への橋渡し役として使うことにし、まずはNotionを試してみました。Notionはチームメンバーを招待するコラボレーション機能やデータベース、タスク管理機能などがあり多機能ですが、内省には不要な機能も多く、現時点ではNotionでなければいけない必然性を感じませんでした。
一方、Obsidianを実際に使ってみた感触としては多機能を廃し、内省に特化したツールの通りでした。自分の要求にはObsidianが理に適っていると判断し、出先での更新体制さえ整えれば特に問題はないと考え、最終的にObsidianを使うことに決めました。
Input/Introspection/Outputの流れと、それらをSupportするツール群
次に内省を導入するにあたり、そもそもInputとOutputのフローの中にどうやって取り込むか、またそれらをサポートするツールをどのように使い分けるべきかを考えました。いろいろ吟味した結果、現時点での結論は以下の通りです。
取り急ぎで書き出したものではありますが、この流れで十分通用しそうだと感じています。全体的に見て明らかですがObsidianの立ち位置が非常に重要であり、InputとIntrospectionの2つを咀嚼する役割を持ちつつ、Outputの基礎情報をCursorに提供する役割も担います。
実際にObsidianを使ってみて
Obsidianをインストールした当初は、どう使うべきかが分からなかったため、まずは日記(diary)を書いて日々学んだことと振り返りを貯め込むことにしました。書く時のルールとしては変にOutputすることを意識せず、
- 書く内容はどんなことでも構わない
- 基本的にプライベート用で表向きにも公開しないため、人に見せたくないような内容でも躊躇なく書き出す
というルールを適用しました。運用してみて1週間が経過しましたが、今のところ
「これは意外と良いぞ」
という感触を得ています。以下に具体的なメリットを3つ書き出します。
1. 認知できずにいた学びを知覚できるようになった
やってみてなるほどと思ったのですが、
仕事に集中している平日は「自分が何を学び、何を感じたか?」の情報がまるで川のように頭から流れ出てしまっている
ことに気がつきました。日記を書くことで、「実はその時に学びがあったにも関わらず、認知できずにいた学び」を認知できるようになったと感じます。
2. Weeklyの振り返りと、それに関連するアウトプットが出せるようになった
1週間分の日記が貯まると、今度は週単位の振り返りが可能になりました。日次と週次でそれぞれ振り返ることで、学んだ内容が記憶に定着しやすい実感がありますし、内省も深まります。週次の内容は公開して問題なさそうな部分だけを抜粋し、記事としてアウトプットしています。
たとえば上の記事がまさに週次の記録ですが、実際に時系列で進行した物事をまとめているためストーリー性を含められている感覚もあり、自分でも読みやすさを感じます。
3. 読者が記事に求めている情報は有益性だけでないと知った
読み手が記事に求めるものは単に自分にとっての有益性だけでなく、ストーリー性もあると感じました。具体的に言うと
ストーリーやパーソナリティが記事に滲み出ることで読み手に共感が生じ、ファンが生まれるのではないか?
と思うようになったのです。一例ですが技術記事を読んでいると、コンテキストまでは書けていてもストーリーやパーソナリティまでは書けていないものが多い印象です。しかし、読者が記事に求める情報の1つが実はストーリーやパーソナリティであり、それがあるからこそ共感してくれる読者が生まれるのだと気づきました。
総じて、Obsidianを使うことで内省する機会を得ることができ、その効果は非常に大きいと感じています。今後もObsidianを使い倒していきたいと思います。