読了「スーパーエンジニアへの道 技術リーダーシップの人間学」【第1~4章】
2020/03/22
masyus
「エンジニアリングにおけるリーダーシップとは何か?」
というテーマは真面目に考えると結構奥深いものがありまして、私個人としても「エンジニアとしてリーダーシップを発揮するとはどういう状態になっていることを指すのだろう?」とよく考えます。会社毎にエンジニアに求めるリーダーシップの形も微妙に異なっていたりもします(テックリード的なことを任されることもあればそうでない場合もあります)。
モヤモヤを感じている時に弊社プロダクト部長が勧めてくれた本が、今回紹介する「スーパーエンジニアへの道 技術リーダーシップの人間学」でした。全24章で構成されており、洋書を翻訳した本であるため文章に多少癖はありますが、今回はそのうち第1~4章の内容から学び・気づきがあった内容を備忘録的に残します。
本書で言われているスーパーエンジニアとはどんな人のことを指すのか?
- 技術的能力とリーダーシップ技能のたぐい稀な結合ができる人
- 技術革新能力が高く、しかもアイデアを効果的に働かせるには十分なだけの動機づけ、および組織化の技能を持っている人
より端的に言うと、
問題解決型のリーダーシップを身につけている人
のことを指します。技術をよく知っていて、どんどんすごいことを思いつく人ではないとのこと(それはそれで大事な力ではあります)。
技術的環境におけるリーダーシップとは何なのか?
- 目の前で起こっている課題を技術で解決している人
- 直線的モデル(アメとムチ等)と有機的モデルを出し分けできる人
- 直線的モデル:他人をリードする
- 有機的モデル:プロセスをリードする
従来的なリーダーシップは直線的モデルに該当するものが多いです。対して有機的モデルは
変化を予期し、時に曖昧さが生じることもあるということまで織り込み済みの上でプロセスをリードする
とあります。ただ、直線的モデルも時と場合によっては必要なシーンがあるため、一概に有機的モデルが賛美されるわけではないということに注意せよとのことです。
また、有機的モデルには積極的に成長を促すものもあり、「タネのモデル」と呼ぶそうです。タネを土に植えて水をやっていくと芽が出るのと同様のスタンスとのことで、以降で詳しく解説していきます。
有機的モデルの要素は大きく3つに分けられる
リーダーシップの有機的モデルを成分分解した場合、大雑把にいうと環境に対して以下3要素を盛り込む必要があるとのことです。
- 動機付け(Motivation)
- 組織化(Organization)
- 技術革新(Innovation)
この3つの頭文字を取ってMOIモデルと呼びます。人の変化(ここでは成長を意味する)を促進させるためには、この3つが大事だそうです。
ただ、リーダーによっては上記のうちどれかがめっぽう強いが、どれかがめっぽう弱いこともあります。共通して言えることは、リーダーシップを成功させている人は
「ものごとをよりよく進める為にはどうすれば良いか?」という革新的な目線にフォーカスしている
とのことです。また、個々人がそれぞれのリーダーシップを持っており、リーダーシップを発揮するためのアプローチも個々で異なるそうです。
技術リーダーは技術革新にフォーカスするために、3つのことを大事にする必要がある
- 問題の理解
- アイデアの流れを調整する
- 品質を保持する
この3点が必要だそうです。スタンスとしては
「もっと良いやり方が必ずある筈だ」
という信仰が大事だと書かれています。
実世界における成長の流れ
人はマクロの目線で見ると線形に成長しているように見えますが、ミクロの目線で見ると結構凸凹しているとのことです。共通しているのは、
大きくジャンプアップする前には必ず凹みがある
ということでした(但し自覚するのは難しいとも書かれています)。より大きな成長を手にする為には、従来は上手くいってたやり方を捨てて新しい手法を掴む必要があり、その際に四苦八苦する期間が凹みとして現れるとのことです。
第1~4章を読んで感じたこと
エンジニアがリーダーシップを発揮して会社にバリューを出すためには
- 課題をテクノロジーを使って解決すること
- 環境を活用して個々人のリーダーシップの発露を促すこと
の2点が大事だというのが、大雑把な要約だと思いました。特に上記2.ができる人はチームビルディングや1on1においても高い能力を発揮されるのであろうと感じます。
また、
- アイデアを批判するときはアイデアを批判しているのであって、そのアイデアを出した人を批判しているのではないことをはっきりさせること
- リーダーとは変化の指導者である。が、リーダーは何よりもまず、リーダー自身の変化の指導者なのだ
の2点も刺さりました。社会人経験を10年以上積んでいる人は暗黙的に実践しているかもしれませんが、若手メンバーには特にこの辺りを声にして伝えていくことが大事だと感じました(私自身にも言えますが)。
今回はこれで以上となります。