「エンジニアリングにおけるリーダーシップとは何か?」
というテーマは結構奥深く、個人的にも自分がリーダーシップを発揮するためにどうあるべきなのかで考えさせられることが多い。会社によっても違うものを求められるはずで、プロダクトに責任を持つ人とは役割が違うし、かといってテックリード的なことを任されることもあればそうでない場合もある。
そんなモヤモヤを感じている時に弊社プロダクト部長が勧めてくれた本がこの、「スーパーエンジニアへの道 技術リーダーシップの人間学」だ。全24章で構成されていて、洋書を翻訳した本であるため文章に多少癖がある。今回はそのうち第1~4章の内容から学び・気づきがあった内容をメモがてら要約する。
本書で言われているスーパーエンジニアとはどんな人のことを指すのか?
技術的能力とリーダーシップ技能のたぐい稀な結合ができる人。技術革新能力が高く、しかもアイディアを効果的に働かせるには十分なだけの動機づけ、および組織化の技能を持っている人。
より端的に言うと、
問題解決型のリーダーシップを身につけている人
のことを指す。
技術をよく知っていて、どんどんすごいことを思いつく人ではない(それはそれで大事な力ではある)。
技術的環境におけるリーダーシップとは何なのか?
目の前で起こっている課題を技術で解決している人。直線的モデル(アメとムチ等)と有機的モデルを出し分けできる人。
- 直線的モデル:他人をリードする
- 有機的モデル:プロセスをリードする
従来的なリーダーシップは直線的モデルに該当するものが多いが、有機的モデルは変化を予期し、時に曖昧さが生じることもあるということまで織り込み済みの上でプロセスをリードする。ただ、直線的モデルも時と場合によっては必要なシーンがあるので、一概に有機的モデルが賛美されるわけではないということに注意。
有機的モデルには積極的に成長を促すものもあり、タネのモデルと呼ぶらしい。タネを土に植えて水をやっていくと芽が出るのと同様のスタンス。以下で詳しく解説する。
有機的モデルの要素は大きく3つに分けられる
リーダーシップの有機的モデルを成分分解した場合、大雑把にいうと環境に対して以下の3要素を盛り込む必要がある:
- 動機付け(Motivation)
- 組織化(Organization)
- 技術革新(Innovation)
この3つの頭文字を取ってMOIモデルと呼ぶ。人の変化(というか成長)を促進させるためには、この3つが大事。
ただ、リーダーによっては上記のうちどれかがめっぽう強いが、どれかがめっぽう弱いこともある。共通して言えることは、リーダーシップを成功させている人は
「ものごとをよりよく進める為にはどうすれば良いか?」という革新的な目線にフォーカスしている
こと。
また、個々人がそれぞれのリーダーシップを持っており、リーダーシップを発揮するためのアプローチも個々で異なる。
技術リーダーは技術革新にフォーカスするために、3つのことを大事にする必要がある
- 問題の理解
- アイディアの流れを調整する
- 品質を保持する
この3点が必要。スタンス的には
「もっと良いやり方が必ずある筈だ」
という信仰が大事。
実世界における成長の流れ
人はマクロの目線で見ると線形に成長しているように見えるが、ミクロの目線で見るとそんなことはなく、結構凸凹している。共通しているのは、大きくジャンプアップする前には必ず凹みがあるということ(但し自覚するのは難しい)。
つまり、より大きな成長を手にする為には、従来は上手くいってたやり方を捨てて新しい手法を掴む必要がある。その際に四苦八苦する期間が凹みというわけだ。
個人的に読んで感じたこと
エンジニアがリーダーシップを発揮して会社にバリューを出すためには
- 課題をテクノロジーを使って解決すること
- 環境を活用して個々人のリーダーシップの発露を促すこと
の2点が大事だというのが、超大雑把な要約だと思った。特に上記2.ができる人は結構やり手な印象だが、同時にチームビルディングや1on1においても大変重要なスタンスだなと。
また、個人的に刺さった内容も以下に書いてみる。
- アイデアを批判するときはアイデアを批判しているのであって、そのアイデアを出した人を批判しているのではないことをはっきりさせること
- リーダーとは変化の指導者である。が、リーダーは何よりもまず、リーダー自身の変化の指導者なのだ
の2点だ。
社会人経験を10年以上積んでいる人は暗黙的に理解して実践していることが多いが、若手メンバーには特にこの辺りを声にして伝えていくことが大事なのではないかと感じたからだと思っている(僕自身にも言えるけど)。何事も前置きが大事。